犬は悪さをするもの、と思っていた。 ユクを迎えた日、本当に数分前まで、自宅の片付けをしていた。食べ物の入った袋をなるべく仕舞ったり、高いところへ避けたりした。電源コードをかじったら危ないのでは、と電源コードを纏めたりもした。庭の犬小屋につなぐのではなく、屋内で、一緒に暮らすということ自体、まだイメージもつかないままだった。猫とは同じ空間で暮らしていたことがあった。そのときの印象だろうか、大切なものはとにかく出しておいてはいけないような気がして、徹底的に片付けた。 ユクを届けてくださった預かりボランティアの方が、「犬は、ここに行っては駄目と教えれば理解して、見えない境界線を作って入らないようにな…