昭和51年7月モントリオールオリンピックで、日本体操男子が大活躍した。 団体総合で5連覇を成し遂げ、個人別で鉄棒と平行棒で金をとるなど、あわせて10個のメダルを獲得したのである。 メダル総数ではソビエトに負けたものの、大健闘といってよい。 勝負は時の運といわれた。 われわれ仲間内でも 「くやしいけど、まあ、団体総合はとったんだから、いいか」 という感想が大勢であった。 体操競技の優劣をつけるというのは、むずかしいものである。 点数は技術・力・美しさの三つが採点基準である。 たとえば、鉄棒競技で演者は鍛え上げた技術で鉄棒をつかんで回転をする。 この回転は遠心力を利用して鉄棒をはなさないで体を回転…