(祖父の軍歴を、引き続き、たどってゆくことにする。 親戚もまったく知らない祖父の軍歴というものを、すこしずつ調べて、自分への手紙のような感じで書いているだけである。) 第一次世界大戦は、半ばを過ぎ、後半に入る年。 この年は、祖父にとって、軍歴上、最も大きなできごとが起こることになる。 日本海軍が地中海に派遣した、「第二特務艦隊」に参加したことである。 以下、この年、大正6年(1917年)の軍歴履歴は、二行である。 「大正6年3月11日 新嘉坡発 戦地戦務(2カ年加算)但軍艦明石乗組」 (新嘉坡=シンガポール) 「大正6年10月22日 横須賀帰着」 軍歴履歴の中で、はじめて、「戦地戦務」という言…