主人公が重い麻疹(はしか)に罹って学校を休んでいる間に、大好きな中沢先生ー病気のために予備役になっていた元海軍士官ーは、日清戦争の勃発により招集されており、新任の丑田先生が受け持ちになっていましたが、彼はこの先生と全く気が合わないのでした。 それはそうと戦争が始まって以来仲間の話は朝から晩まで大和魂とちゃんちゃん坊主でもちきっている。それに先生までがいっしょになってまるで犬でもけしかけるようになんぞといえば大和魂とちゃんちゃん坊主をくりかえす。私はそれを心から苦苦(にがにが)しく不愉快なことに思った。先生は予譲(よじょう)や比干(ひかん)の話はおくびにも出さないでのべつ幕なしに元寇と朝鮮征伐の…