*新潮社 【あらすじ】 戦国の世も佳境に入りつつある時期。上州(群馬県)大胡の城主、上泉伊勢守(信綱)は国主の長野業政(業正)に仕えて戦いに明け暮れながらも、塚原卜伝始め数々の流派で学んだ剣術を究めたい願望も心の底に秘めていた。戦乱の合間を見ては自ら剣術を究め、そして門下に剣術を教授する日々。その中には長野業政の2人の娘、長女の正子と次女の於富も居た。於富とは一度男女の仲となり、その後嫁入りしたが生れた子供は自分の子と告げられていた。 「上州の黄斑(虎)」と呼ばれていた長野業政は関東管領上杉家を支えていたが、上杉家は北条氏康に攻め入られて衰退の一途を辿っていた。上杉家が長尾景虎(後の上杉謙信)…