関口良雄

関口良雄

(読書)
せきぐちよしお

東京大森のかつての名・古書店「山王書房」の店主。(1918年2月11日‐1977年8月22日)
長野県飯田市生まれ。俳号・銀杏子。錦城中学中退。1947年文星閣印刷に勤務。1953年、古本店山王書房を開店。尾崎一雄、上林暁、木山捷平、山高のぼると五人句集「群島」を刊行。

尾崎士郎、尾崎一雄、上林暁、野呂邦暢、沢木耕太郎、三島由紀夫、木山捷平など多くの作家に愛された。文学書の蒐書で知られていたが、昭和52年、還暦を目前にして関口は亡くなる。山王書房も店を閉じた。
当時の追悼の中に山王書房はこんなふうに描かれている。
「思いがけない場所に小ぢんまりと、小綺麗に、粒よりの古書を並べた店があるのは、奇蹟のように思えた」(山高登)
「ひっそりとした小さな古本屋の第一印象は裏切られなかった……珍しい本にめぐりあへさうだな、と咄嗟に思った」(結城信一)。
『昔日の客』は、こんな古本屋の、それこそ日だまりのような日々を綴った随筆を没後、書物にまとめられたものだ。
1978年に三茶書房から1000部限定で刊行され、文学への愛情と作家たちとの交流は、名著と謳われた。絶版後は15000円は下らない高い古書価が付いていたが、夏葉社から刊行第2号として、2010年に32年ぶりに復刊された。2010年10月4日のbk1書籍売上デイリーランキング1位を獲得。話題を呼ぶ。
今どきめずらしいクロス装に帯の瀟洒な造り。

表紙は布貼り。著者が書いた字を黒の箔で押している。

表4の山高登さんの版画は手貼り
  
"私は売れなくてもいいから、久米正雄の本を棚の上にそのまま置いておこうと思う。相馬御風、吉田絃二郎、土田杏村の本なども今はあまり読むひともなくなった。古本としては冷遇され、今は古本屋の下積みとなっている不遇な本たちだ。マリー・ローランサンの詩の一節に「もっとも哀れなのは、忘れられた女です」というのがある。古い書物の辿る運命もまた同じで、忘れられた本は古本屋の片隅で顧みられようともしない。”
 
“人の手から人の手へ、古本の運命も生きている人間同様、数奇の運命を宿している。 
私は棚から志賀直哉著『夜の光』を抜いてきた。この「夜の光」の見返しには、達筆のペン書きでこう書いてある。
 『何故私はこの本を売ったのだろう。キリストを大衆の前に売りつけたユダの心にも勝って醜いことだと私は思った。私は醜い事をしてしまった。再び買ひ取った私の心は幾分か心易い感じがしたけれど、やはり過去の気弱であった自分をあはれ者と意識せずにはおかなかった。僅かばかりの欲望にかられた私は春雨のそぼ降る四月の或る朝、古本屋に十五銭でこの本を売りつけたのだった。今更の様に哀愁がわく』”

2011年、夏葉社の刊行第3号として、尾崎一雄・山高登が編集の「関口良雄さんを憶う」が発売される。
 
息子は、音楽プロデューサーの関口直人

著書

  • 『昔日の客』三茶書房 1978 夏葉社 2010.10.
  • 『銀杏子句集』三茶書房、1981

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