ミステリ評論家、書評家。1953年2月1日、山口県生まれ。 北海道立函館西高等学校卒業。早稲田大学社会科学部中退。雑誌記者、編集者を経て文芸評論家に。著書に『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』などがある。 かつてはSFファンであり、雑誌「NW-SF」の編集も手伝っていた。また、サンリオSF文庫のルンドヴァル『2013年キング・コング・ブルース』の解説を、別名で執筆したこともある。
佐藤泰史の評伝を読んで、彼が熱心にアプローチしたという藤堂志津子の小説を読みたくなり、『別ればなし』と『昔の恋人』を借りて読んだ。 『別ればなし』は初出が「イン・ポケット」1998年8月号~10月号、講談社文庫の発売日が2002年6月14日。『昔の恋人』は単行本が1999年12月発売、集英社文庫の発売日が2002年10月28日。作者は1949年生まれだから、49~50歳頃の作品。 文庫本解説(関口苑生)によれば、『昔の恋人』は四編の短編からなるが、いずれも作者自身の体験がベースになっているという。つまり、ここに登場する「昔の恋人」にはそれぞれモデルがいる。作者は短大を卒業後、二十歳で一度結婚し…
『猟人日記』戸川昌子(講談社文庫コレクション大衆文学館) 乱歩賞受賞作『大いなる幻影』と第二作『猟人日記』の合本より、未読の『猟人日記』を読みました。 キーパンチャーB・G尾花けい子は、バーで知り合った低音が魅力の男と一夜限りの関係を持ったあと、妊娠を知って身を投げます。けい子の姉・常子は、死んだ妹が身籠っていたことを警察に知らされ大きなショックを受けました。 やがて常子と同じく鼻の横にホクロのある女がバーに現れ、低い声の男について聞き込みを始めます。 一方、低音の男・本田一郎はナンパした女との情事を記録につけて『猟人日記』と名づけていました。妻が奇形児を産んでからというもの、妻相手にはどうし…