有川浩の連作短編「阪急電車」は映画化されているが、小説も面白かった。 今津線の8つの駅を舞台にした「いい話」でほっこりとした気分になれる小説だった。この今津線はかつて私の通学路線だった。 「西宮北口駅」当時、まだ西宮球場があった。あまり下車することはなく、ここを経由して十三や梅田の居酒屋で飲んだ。 「門戸厄神駅」神戸女学院の最寄り駅だが、一度も校内に入ったことがなかった。後年、当時女学院の教授だった内田樹さんのシンポジウムを聴きに行ったとき、初めて校内に入った。山中のような佇まいがあり、アカデミックな名門校だった。 「甲東園駅」いつも豪邸横の急階段の裏道を歩いて通学した。労働者階級の家庭に育っ…