各国が国防上の理由から設定する空域のこと。英語表記は「Air Defense Identification Zone(ADIZ)」。
日本においては、1945年にGHQが制定した空域をほぼそのまま使用し、航空自衛隊におけるスクランブルの実施空域に指定している。
ただし、防空識別圏は国際法で確立した概念ではなく、領空、領土の範囲を定めたものでもない。
背景
多くの国において領海は12海里に設定されていることから、他国機が領海上空の領空を侵犯してから領土上空に到達するまで、旅客機でも1分強、超音速軍用機であれば数十秒しか要しない。そのため、領空侵犯を確認してから対応するのでは手遅れになる危険があり、領空の外周の空域に防空識別圏を設定することで、届けのない航空機が防空識別圏に進入した時点で空軍力による強制措置を含む対応が行えるようにしたものである。したがって、スクランブルは、当該機が防空識別圏に進入する姿勢を見せた時点で行われることが多い。