【平家物語38 第2巻 阿古屋の松①〈あこやのまつ〉】 大納言以外に陰謀に荷担した者は、 それぞれ遠国流罪を言い渡された。 すなわち、近江中将入道 蓮浄 《れんじょう》が佐渡国 《さどのくに》、 山城守基兼 は伯耆 《ほうき》、式部大輔雅綱 は播磨《はりま》、 宗判官信房 は阿波 《あわ》、 新平判官資行 が美作 《みまさか》といったぐあいである。 その頃、清盛は福原の別荘にいたが、 摂津左衛門盛澄《せっつのさえもんもりずみ》に命じて 門脇宰相《かどわきのさいしょう》のところへ、 「至急、丹波《たんばの》少将をこちらへ出頭させるように」 といい送った。 「何ということだ、今頃になって、 もっと…