「かすむこまかた」は、天明6年(1786年)正月から2月にかけての日記である。 菅江真澄は、陸奥国仙台領胆沢郡前沢駒形で正月を迎えている。 天明3年春に、故郷の三河を離れて旅に出た菅江真澄にとっては、旅の途上の三回目の正月である。 天明4年は、信濃国東筑摩郡洗馬に滞在して、初めての正月を迎えた。 そして、翌年天明5年は、出羽国雄勝郡柳田で、二回目の正月を迎えている。 いずれも、正月の頃は同じところに長期滞在をしていたようである。 冬季の移動は、避けるようにしていたのだろうか。 駒形では、村上良知宅に居留していて、そこから中尊寺や毛越寺を何度か訪ねている。 中尊寺、毛越寺は、円仁によって創建され…