大手企業を中心に「満額回答」が相次ぐ春季労使交渉に『春秋(250314)』は思う▼放浪の旅からふらっと戻った寅次郎、実家の裏の印刷工場に顔を出し「労働者諸君!」と▼その後の言葉は作品によって違う。1971年公開の第8作は、米政府がドルと金との交換を停止、世界経済は揺れた。「稼ぐに追いつく貧乏なし」と、まじめに働けば必ず暮らしは上向くと信じられていた▼令和のいま、中小、零細の賃上げはいかに。タコ社長も頭を抱えていよう▼「50年前の日本人は今より幸せだったんじゃないか」「未来にもっと期待していた」と山田洋次監督。だからといって、昭和の世に戻るわけにもいくまい。「それを言っちゃあおしまいだよ」。新し…