電車特定区間とは、 JRの旅客営業規則第78条に規定する区間のこと。
東京附近及び大阪附近の幹線区間のうち利用者が特に多い線区・区間について、この区間内の駅を相互発着する場合、普通旅客運賃の計算において幹線区間よりも割安な対キロ賃率を適用するものと規定されている。国鉄時代の旧称は「国電区間」。
なお、私鉄との競争区間などを個別に指定して、距離とは無関係に安い運賃を適用する「特定運賃」とは別の概念である。
旧国鉄が1984年4月20日の運賃改定時に、従来の全国一律の賃率体系を放棄し、営業効率の良い国電区間について割安な運賃を設定するために指定したのが始まり。地方交通線運賃、山手線・大阪環状線内の運賃制度も同時に設定されている。
当初は区間内10km以下の運賃を山手線・環状線内の運賃と同じ賃率(3kmまで120円、10kmまで140円)とし、10kmを超える場合は幹線の運賃を適用する方式だったが、翌年の改定で7〜10kmについては山手線・環状線運賃が据え置きだったのに対して電車特定区間では10円の値上げとなり、さらに1986年9月1日の運賃改定で、10kmを超える部分についても独自の賃率が適用されるようになり、現在に至っている。
現在電車特定区間として指定されているのは以下の区間である(旅客営業規則78条2項)。
神奈川県は久里浜駅(東京駅から70.4km)までが電車特定区間、千葉県は千葉駅(東京駅から39.2km)までが電車特定区間に含まれているのに、埼玉県は大宮駅(東京駅から30.3km)までしか電車特定区間に含まれていない。これは埼玉県民が不当に重い運賃を負担させられていることにほかならないとして、埼玉県はJR東日本に対して電車特定区間の拡大を要求している。