青鷺の霊:土師清二 1928年(昭3)朝日新聞社刊。 1955年(昭30)和同出版社刊。 青鷺の霊:土師清二2 タイトルは中身とほとんど無関係だった。江戸中期の仇討ちをめぐる群像劇。一方で親の仇を探して東海道を旅する浪士の阿部豊之助主従がいる。そして彼らに人違いで父親を討たれた浜松藩士の篠田秋弥も親の仇として彼を追うことになる。さらに街道筋の胡麻の蠅やら猿回しの一味やらが加わり、仇を討つことや恨みを果たすことがその人物たちの行動の原動力となる。結局はそれぞれが東海道を東に西にうろうろと行き来し、あるいはひたすら江戸を目指すことになる。各々の心境の微妙な変転を描いてはいるが、この人たちは何を糧に…