「私小説名作編」のアンソロジーを読んで気になった庄野潤三「静物」を読むために図書館へ行き現代日本文学大系88(筑摩書房)を借りる。田中小実昌のエッセイ集も二冊借りる。「静物」を読み、村上春樹の解説を読んで納得する。 「第三の新人」として庄野潤三の名前は小島信夫や安岡章太郎と共によく出てくるが、作品を読んだのは初めてだった(実は「プールサイド小景」も読んでいたことに後で気づいたが忘れていた)。 庄野潤三は「静物」の後、「夕べの雲」などの平穏無事な家族小説を書き続けて「治者の文学」などと呼ばれたそうだ。村上春樹は、「静物」は文学史に残る小説だが、ここから先はもう文学的に見るべきものはない、と遠回し…