アルコール性肝障害に類似した症例を示す、肝臓に脂肪が蓄積することで起こる肝炎。Non-alcoholic steatohepatitis(NASH)。
概要
近年の生活習慣病の増加に伴い、注目されている肝臓病のひとつ。
肥満や糖尿病、高脂血症などの「インスリン抵抗性」により、肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝になる。次に脂質過酸化やサイトカイン、鉄などの酸化ストレスにより発症することが知られている*1。
診断項目
- 非飲酒者である(エタノール換算で1日20g未満)
- 肝組織所見が脂肪肝炎
- 大滴性の脂肪沈着
- 炎症細胞浸潤
- 肝細胞の風船様腫大
- ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎など、他の原因による肝疾患の除外
治療法
一般療法
- 体重減少(BMI25以上の場合、10%の体重減少)
- 食事、運動量療法
薬物療法
- 抗酸化剤:ビタミンE、C
- 糖尿病治療薬:チアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤、シダグリプチン
- 脂質異常症治療薬:フィブレート系薬剤、エゼチミブ、EPLなど
- 肝庇護剤:ウルソ、グリチルリチンなど
除鉄療法
- 瀉血療法:1回に200〜400mlの血液を2週ごとに
- 鉄制限食:1日の食事中の鉄を6-7mg以下に