山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(36) 今回は、第4章 機械としての生命 第4節 さまざまな力学系モデル(p.192~)である。 本節では、生命現象の「力学系モデル」として論じられてきた様々な古典的な理論の概略が説明されている。 シュレーディンガーの熱力学的考察 生命の力学系モデルは、シュレーディンガーの『生命とは何か』に由来する。 通常の物質は秩序だった構造を与えても急速に無秩序状態(熱力学的平衡状態あるいはエントロピー最大の状態)に陥ってしまう。平衡状態に陥った物質は、もはやその状態から変化しない。 生物とは、熱力学的な非平衡状態が、異常なまでに長期間維持されている系であ…