既存のケインズ経済学において、なぜ財市場における均衡が前提とされているのか? それはケインズ自身が『雇用・利子および貨幣の一般理論』において「投資と貯蓄は必然的に額において等しい」との記述を行ったことにも関係している。 ケインズ自身は『一般理論』内において総投資と総貯蓄の恒等関係を展開した。 しかし、ケインズの述べる両者の恒等関係を理解できなかった後のケインズ研究家は、総投資と総貯蓄の関係性を「一致」論から論じることを行った。 それは、投資と貯蓄の関係性の均衡を意味する一致点が所得水準の決定を意味し、その一致点が財市場における均衡をも実現するとの解釈を行ったことを意味する。 ケインズ自身が『一…