今月の最後、歌舞伎座第三部を観劇。平日と云う事もあってか、入りは一部程ではなかった。しかしこの三部を見逃した歌舞伎愛好家は間違いなく損をしている。そう断言出来る凄い芝居を観た。幸四郎の「義賢最期」である。これは筆者の様に、時間となけなしの金をつぎ込んで毎月何本も芝居を観ている人間でも、年間で何本もお目にかかれるものではない位の素晴らしい芝居であった。 幕開きはその「義賢最期」。松嶋屋が復活させたと云っていい狂言で、自身で何度も上演して練り上げてきた芝居。近年では愛之助の上演回数が圧倒的である。幸四郎の義賢、梅枝の小万、隼人の折平実は蔵人、米吉の待宵姫、廣太郎の次郎、錦吾の九郎助、片岡亀蔵の兵内…