明治期の日本が犯した犯罪に「閔妃暗殺事件」がある。乙未事変ともいう。1895年のことだ。他の国の皇后を暗殺したのだから主権侵害どころの話しではない、恐るべき暴力の発動と狂気の沙汰といって間違いはない。 首謀者の一人は三浦梧楼。その実行犯の一人である禹範善(ウ・ボムソン)がここでの気になる存在だ。 彼は間違いなく朝鮮の未来を案ずる愛国者であったには違いない。日本方式で洋化を目指す開明派だったこの人物は事件後、日本に亡命する。そして、日本人女性、酒井ナカと結婚し、帰化する。 1903年呉に新居をかまえたその日に、高永根・魯允明によって刺殺された。もちろん、彼らの動機は閔妃殺害の恨みをはらすためであ…