もう、家に帰ってこなくなった。 僕はいつも通り、あの日も悪びれることなく、帰ってくると思っていたが、悪い意味で予想を裏切った。 きっと、今も夜の街で男からお金を奪っているのだろう。 きっとそうだろう。 そう思い、会社が終わった後、探し回ったことがあった。 でも、もう二度と会うことは叶わなかった。 そして、数ヶ月が経った。 僕は、もうあのときの記憶がどんどん薄まっていって、いつも通りの生活が戻っていた。 そんな時である。 立ち飲み屋で飲んで、アパートについた頃、着信が鳴った。 知らない番号だ。 僕はおそるおそる、電話に出た。 「ふ、藤原です」 「助けて!!」 耳を疑った。誰だろう? 誰がかけてき…