額田女王 (新潮文庫) 作者:靖, 井上 新潮社 Amazon 熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は榜ぎ出でな茜さす 紫行き しめ野行き 野守は見ずや 君が袖振る 万葉集で、ひときわ印象的な歌を詠んだ歌人として知られる額田女王(額田王とも)。「茜さす~」の歌は、中大兄皇子と大海人皇子との三角関係という構図とともに、しばしば少女漫画などでも取り上げられるので、恋に生きた情熱的な女性、といった印象がなんとなくありました。 しかしながら本書は、額田女王が朝廷の権力者や時代の流れに翻弄されながらも、それに流されることなく、自立した生き方を求めた人間であったというスタンスで彼女の姿を描い…