著者: 藤田素子
「額田王」のマンガのコマをアルで探す
万葉歌人。七世紀後半のひと。 日本書紀によれば、大海人皇子(天武天皇)との間に十市皇女をもうけた。後に大海人皇子の兄の天智天皇に寵愛をうけたとも言われるが、詳しいことはわかっていない。 「あかねさす紫草野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」や 「熟田津に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬいまは漕ぎいでな」が有名。
訓読 >>> やすみしし わご大君(おほきみ)の 恐(かしこ)きや 御陵(みはか)仕(つか)ふる 山科(やましな)の 鏡の山に 夜(よる)はも 夜(よ)のことごと 昼はも 日のことごと 音(ね)のみを 泣きつつありてや ももしきの 大宮人は 行き別れなむ 要旨 >>> 恐れ多くも我が大君の御陵にお仕えする、その山科の鏡の山で、夜は夜どおし、昼は日中ずっと、声をあげて泣き続けてばかりいた大宮人たちは、今はもう散り散りに去っていく。 鑑賞 >>> 山科の天智天皇御陵に奉仕していた大宮人たちが、その期間を終えて退散するときに、額田王が作った歌。もっとも山科陵の造営は翌年の壬申の乱で遅れたため、これは…
君待つとわが恋をれば わが屋戸の暖簾 動かし秋の風ふく 額田王 (萬葉集 巻第八 秋相聞 1606) 赤松久美子様 ameblo.jp この歌の現代語訳は下記のようになります。 「あなたを待って私が恋しく思っていると、私の部屋のすだれを動かして秋の風が吹いていきます。」 詞書は「額田王、近江天皇を思(しの)ひて作る歌」。人を待っていると、物音や気配に敏感になります。それが愛する人ならなおさら。 かすかに簾が動いたことに気付き、期待を込めて振り返った瞬間。 それがただの風だと気付いて、切なくため息を吐く瞬間。 それらが冷凍保存されたかのような歌。1350年の時を超えて、ありありと情景が浮かび、共…
冬こもり春さり来れば鳴かずありし鳥も来鳴きぬ咲かずありし花も咲けれど山を茂み入りても取らず草深み取りても見ず 秋山の木の葉を見ては黄葉をば取りてぞ偲ふ青きをば置きてぞ嘆くそこし恨めし秋山我は(秋山吾は) 額田王 (萬葉集 巻第一 16) 意訳 春が来ると鳴かなかった鳥も来て鳴き 咲かなかった花も咲くけど 山が茂っていては入って手に取る事はなく 草が深いので手に取る事はことはない 秋山の木の葉を見て黄色く色付いたものは手に取って愛でる まだ青いものはそのままに置いて残念に思う そんな思いをさせる秋山こそ素晴らしいでしょう 補足 長歌 天智天皇が内大臣藤原朝臣に 「春山の花の艶と、秋山の紅葉の色、…
皇太子の答へし御歌 明日香宮に天の下治めたまひし天皇、諡を天武天皇といふ 紫のにほへる妹を 憎くあらば人妻ゆゑに 我恋ひめやも 大海人皇子 (萬葉集 巻第一 21) 紀に曰く、「天皇の七年丁卯夏五月五日、蒲生野に縦猟(みかり)す。 時に、大皇弟・諸王・内臣また群臣、皆悉(ことごと)従ふ」といふ。 明日香清御原宮(あすかのきよみはらのみや)の天皇の代(みよ) 天渟中原瀛真人(あまのぬなはらおきのまひと)天皇、諡を天武天皇といふ (万葉集 巻第一 21) 【教科書『国語総合』(桐原書店)の訳】 皇太子(大海人皇子)が答える御歌 紫色が鮮やかに映えているように 美しいあなたをもし好きでないならば (…
「袖振り合うも多生の縁」などと申します。すべての出会いは単なる偶然ではなく、深い宿縁によって起こるもの、ご縁を大切にしましょう・・・これ、元・水の分析屋さんは「他生」だと思っています。「多生」も「他生」も仏教起源の言葉に違いないでしょうが、ちょっとニュアンスが違う。「他生」だと、現在いただいている命(=生:しょう)とは別の生、前生、前前生、おまけに前前前世・・・あるいは後生かも知れませんが、とにかく今じゃない生でのご縁。「多生」だと六道の輪廻で何度も生まれ変わった、今の生も含まれる多くの生・・・って考えたわけです。前者がよさそうな気がしませんか。どっちでも似たようなものと言う人には、「≧」,「…
近江神宮は天智天皇が祀られた神社である。 その周りも紅葉が美しい。 イチョウが色づいていてきれいだ。 ずいぶんイチョウも落ちてしまったけれど。 近くの大津京シンボル緑地に歌碑がある。 君待つと我(あ)が恋ひをれば我(わ)が宿の簾(すだれ)動かし秋の風吹く 額田王の歌碑がある。 天智天皇を思って詠ったという歌。 ja.wikipedia.org 茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(巻1・20・額田王)紫の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも(巻1・21・大海人皇子)の2首などをめぐって天智・天武両天皇との三角関係を想定する理解が一般にある 宴席での余興の歌であったようだ。 古代の…
■あかがし■ 「万葉植物園 植物ガイド105」(袖ケ浦市郷土博物館発行)より引用させていただきました。 ●歌は、「莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣我(わ)が背子がい立たせりけむ厳橿(いつかし)が本(もと)」である。 千葉県袖ケ浦市下新田 袖ヶ浦公園万葉植物園万葉歌碑(プレート) 20230926撮影 ●歌碑(プレート)は、千葉県袖ケ浦市下新田 袖ヶ浦公園万葉植物園にある。 ●歌をみていこう。 ◆莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣 吾瀬子之 射立為兼 五可新何本 (額田王 巻一 九) ≪書き下し≫莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣我(わ)が背子がい立たせりけむ厳橿(いつかし)が本(もと) (訳)静まり返った浦波をはるかに見…
「『この味がいいね』と君が言ったから、七月六日はサラダ記念日」(俵万智) 昭和62年ころ、ある学校で、高校でも教えておられる国文学者のF先生と話すことがあった。 F「のりもくん。俵万智さんの歌、知ってる?あなたはどう思う?」 私「え、サラダ記念日ですか?いますごい評判ですよね。どおって、・・・何か和歌らしくないなぁって・・・」 F「うん、現代詩だからね。しかし、悪くないというより、いいでしょう?何か、わかやいでいて、サラダの青さと新鮮さとほんのりとした恋の気分がマッチしてる。わたしは自分ではこの歌を現代感覚詩、または、現代感性詞と名付けてるんですよ」 私「なるほど。だけど、古歌と対比するとどう…
訓読 >>> 150うつせみし 神に堪(あ)へねば 離(さか)り居て 朝嘆く君 放(さか)り居て わが恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣(きぬ)ならば 脱(ぬ)く時もなく わが恋ふる 君そ昨(きぞ)の夜 夢に見えつる 151かからむとかねて知りせば大御船(おほみふね)泊(は)てし泊(とま)りに標(しめ)結(ゆ)はましを 152やすみしし我ご大君(おほきみ)の大御船(おほみふね)待ちか恋ふらむ志賀(しが)の唐崎(からさき) 154楽浪(ささなみ)の大山守(おほやまもり)は誰(た)がためか山に標(しめ)結(ゆ)ふ君もあらなくに 要旨 >>> 〈150〉生身の体は神のお力には逆らえないので、遠く…
天の川の太陽(下巻)改版 (中公文庫) [ 黒岩重吾 ]価格: 1485 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 中大兄皇子の弟として育った大海人皇子。大化の改新を実行した政界の実力者だが、弟は兄の奥底にある冷酷で非情な性格を察知していた。母の斉明(皇極)天皇は目の前で愛人、蘇我入鹿が殺害されてから心神耗弱の状態が続いている。その間に中大兄皇子はわがもの顔で邪魔者を次々と粛清する一方、同母妹で孝徳天皇の皇后であった間人皇女を寵愛して周囲を困惑させる。また大海人皇子が愛する妻であった額田王を奪われていた。 大海人皇子はそんな兄に疑問の目を向けるが、油断なく対応する。自分は一介の武弁者であり、政治はよく…
きのうの『光る君へ』は、ご覧になりましたでしょうか。 いつかの『光る君へ』のファンミーティングで、吉高由里子さんに対してアナウンサーが、 「柄本佑さんになにかメッセージありますか?」 と訊ねた答えは、 「演技力おくれ~」 でした。 その時は、えっ?そんなぁ。柄本佑さんって演技してないみたいに見えるけど・・ でも、それが彼だけが持ってる演技力だったのですね。昨日の演技で吉高由里子さんの仰ってる意味が分かりました。確かに演技なさってました。顔を歪めたり、足を止めたりと。 大河の主役に選ばれておられるわけが、昨日ばかりはよく分かりました。 ドラマの本編が終わった後、数分間の「光る君へ紀行」がくっつい…
●歌は、「滝の上の三船の山に居る雲の常にあらむと我が思はなくに(弓削皇子 3-242)」である。 【三船の山】 「弓削皇子(巻三‐二四二) 宮滝の岩場の、かつて激湍をなしていたところの、南側、上方にある山が、『三船(みふね)の山』である。船形をしているので御船(みふね)山(四八七メートル)とよばれ、また船岡山ともいわれる。西側は喜佐(きさ)谷をはさんで象山(きさやま)と対しており、宮地からは東南に高く仰がれる山である。それだけに吉野宮に来た人たちには川をへだてて朝夕に親しまれていた山だ。作者の弓削皇子は天武の皇子で母は大江皇女(天智の皇女)、長(なが)皇子の弟にあたり、病弱の人であったらしい。…
訓読 >>> 玉垂(たまだれ)の小簾(をす)の隙(すけき)に入り通ひ来(こ)ね たらちねの母が問はさば風と申さむ 要旨 >>> 玉を垂らした簾(すだれ)のすきまからそっと入って通ってきてください。もし母がとがめて尋ねたら、風だと申しましょう。 鑑賞 >>> 旋頭歌(5・7・7・5・7・7)形式の歌で、『古歌集』から採ったとあります。『古歌集』については諸説ありますが、『万葉集』編纂の資料になった歌集で、飛鳥・藤原京の時代の歌を収めたもののようです。「玉垂の」は、玉を垂らした簾の意で、「小簾」の枕詞。「小簾」の「小」は接頭語で、すだれ。「来ね」の「ね」は、他に対しての願望。「たらちねの」は「母」…
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(巻第1-20)~額田王 紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにあれ恋ひめやも(巻第1-21)~大海人皇子 河上のゆつ岩群に草むさず常にもがもな常処女にて(巻第1-22)~吹黄刀自 うつせみの命を惜しみ波に濡れ伊良虞の島の玉藻刈り食む(巻第1-24)~麻続王 春過ぎて夏来るらし白妙の衣乾したり天の香具山(巻第1-28)~持統天皇 楽浪の志賀の唐崎幸くあれど大宮人の船待ちかねつ(巻第1-30)~柿本人麻呂 楽浪の志賀の大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも(巻第1-31)~柿本人麻呂 古の人に我れあれや楽浪の古き京を見れば悲しき(巻第1-32)~高…
今日の目的地は舒明天皇「忍坂内陵」。舒明天皇(田村皇子)は敏達天皇の子、押坂彦人大兄皇子の子。この忍阪の地を勢力圏としていたと思われる。近鉄大和朝倉駅からは遠く二上山が見える。 付近の住宅地造成に伴い古墳群が見つかった。既に破損していた横穴式石室が数基、移築保存されている。忍阪の谷に入ると多武峰が目前に見えた。水路沿いの道を歩くと無数の赤とんぼが舞っている。依然猛暑だが、季節は秋に移っている。 忍阪坐生根神社。背後の宮山を神体とする古風な神社。石段を登ると磐座がある。その手前に並ぶ板状の石は、舒明天皇陵の葺石が持ち込まれたものと言う。玉津島明神。祭神の「衣通姫」は允恭天皇の皇后、忍坂大中姫の妹…
私がデリヘルをしている女性に「恋心」を抱いたことへ多くの教え子たちから「目を覚ましてください!」などと強く止められました。そうでなくとも女性から見れば、自分の夫だったらそういうことをしほしくない。と思うのは当然のことだと思います。 妻はもういつでも人工透析の待っている状況の中で私の体を気使ったお味噌汁でこの10年間をなんとか持ちこたえさせてくれていることは事実です。そういう妻に対してblog内でも悪口雑言を並べていること自体が許せない。と言われることも、まことにその通りです。本当にこの教え子たちはまっとうに育ってきたんだな、と思います。 私は歴史を勉強してきた一人として「恋」の概念について考え…
近江大津京の遺跡は住宅街にあった。遺跡のすぐ横を南北に走る道路は都の中軸線の名残りと言う。今も車が絶え間なく走っている。 その道路の反対側に京阪電車の近江神宮前駅がある。ここから瀬田の唐橋を見に行く。近江神宮の近くまで来て神宮に行かないのが私だ。近代に作られた神社には余り興味がない。唐橋は俵藤太のムカデ退治で知られる。古代の橋はここより南に架かっていたらしい。壬申の乱の最後の決戦の舞台だ。京阪唐橋駅は終点石山寺駅のひとつ手前、ここまで来て石山寺へ行かないのも私の流儀だ。石山寺へは別の機会に行こう。 次に山科へ移動して、まず天智天皇陵へ行った。『万葉集』巻2、155歌は、額田王が天智天皇を葬った…
薬用植物を見せてもらったので いくつかを紹介する コルクガシ(ブナ科) コルクの原料のコルクガシだが地中海沿岸に生え、栽培される 疎水性、弾力性、防音性、耐菌性、防火性・・ 自然の素材はすごい 日本ではアベマキの樹皮からコルクがとれるがやはり本家には劣る タバコ(ナス科) きれいなかわいい花だが短日植物の代表である 大きな葉で30センチ以上になり、もちろんニコチンを多く含む 今では専売でなくなり自己利用目的なら栽培できる チョウセンアサガオ(ナス科) 華岡青洲が手術の麻酔薬の原料の一つとして用いたので有名な毒草 アサガオの名があるが、ナス科 エンジェルトランペット(キダチチョウセンアサガオ)の…
道後温泉『にぎたつ会館』はコスパ抜群! 《え!道後温泉の温泉旅館でこんなに安くてよいの!?》 道後温泉のシンボル、道後温泉本館からも徒歩圏内にある『にぎたつ会館』は、温泉旅館ながら超格安!コスパ抜群のお宿を宿泊レポートします。 筆者紹介 こちらは本業の傍ら全国47都道府県を旅して年間平均40泊!旅行プランナー/ブロガー「旅人サイファ」が執筆運営しております。 旅人サイファ実績 ・スキルマーケット「ココナラ」にて旅行お出かけカテゴリ売上実績No1 ・旅行お出かけメディア「RETRIP」パートナーライター ・スマートニュース/Yahoo!ニュースほかメディア掲載実績多数 ・「にほんブログ村」旅行ブ…
『空の散歩道』には道後温泉の夜景を見下ろす天空の足湯あり! 《道後温泉にこんな夜景スポットあるの知ってた?》 松山市道後温泉。日本三古湯のひとつとして知られる歴史ある温泉街を見下ろす夜景スポットをご紹介!なんと無料の足湯も楽しめるんです! 筆者紹介 こちらは本業の傍ら全国47都道府県を旅して年間平均40泊!旅行プランナー/ブロガー「旅人サイファ」が執筆運営しております。 旅人サイファ実績 ・スキルマーケット「ココナラ」にて旅行お出かけカテゴリ売上実績No1 ・旅行お出かけメディア「RETRIP」パートナーライター ・スマートニュース/Yahoo!ニュースほかメディア掲載実績多数 ・「にほんブロ…