タイトルは雌鶏、めんどりです。戦争から帰ってきた夫とその妻のトラブルを描いたもので、夫が妻を階段から突き落としたあと階下に降りるでもなく棒立ちで階上から「大丈夫か」といちおう言って眺めています。こういう、”不器用さからのDVも愛情表現のねじれのひとつ” という暗黙の解釈で描かれた昭和の世界は、これからどんどん観るのがつらくなるけれど、なんか見慣れてる。見慣れてるものは見慣れてるんですよね……。こういう時、ああ自分は歳をとったのだなと感じます。 それでも妻が夫にすがりつくあの感じは、少し前に観た平成の映画「桐島、部活やめるってよ」で彼氏と一緒に帰るためだけに待つ彼女と似た、帰属意識でも所属意識で…