コロナ禍で気持ちよく旅行も出来ない。ここは江戸時代、豊後日出藩からの庶民の伊勢参宮日記を見ながら江戸期の旅に暫し思いを馳せてみたい。当時の庶民の最大の楽しみは伊勢参りである。伊勢参りを口実の上方への物見遊山でもある。時期は農閑期となる冬季に限られる。信徒仲間による伊勢講の積立により順繰りに旅行機会が巡ってきた。 お伊勢参りが本格化するのは江戸時代であるが、それまでの御師(今で言えば神社のmarketerというところか)による市場開拓努力無しには実を結ぶことはなかった。多くの神社は財政危機(荘園制の崩壊)に陥り、その立て直しに御師が各地を巡り各神社の御利益を説き檀家を増やしていったことで生き返る…