司修さんによる版画である。いく十周年目かの「風花」開店記念日祝賀パーティーにて、引出物として頂戴した。 モデルはお店の守護猫だ。ある日の開店前、ママさんが扉を開け放ったまま掃除していたら、通りかかった猫がそっと店内を覗き込んだ。オヤッ、どこの子だろう、どうするつもりだろうと窺っていると、そろりそろりと入店してきて、そのまま居ついたという。 L 字カウンターどん詰まりの、店にも客にももっとも邪魔になりにくく、かつ店内全容を観わたせる場所が定位置で、腹這うか横たわるかしていた。 今日が「風花」の最終営業日だ。お報せがあってから何日も経ったのに、出向いてない。お世話になった年月と程度とを想えば、とん…