クリスマスケーキ、お節、七草粥、節分と恵方巻き、バレンタイン、ホワイトデー。見事に食べることには情熱をかける国だなぁと思う。 バレンタインといえば、製菓会社の策略に乗るのは癪だと思いながら、その実あの人からのそれを欲しがり、ねだったのは今となっては良い思い出になっている。そういえるほどには昔の記憶のひとつになった。ただ、その時にこちらから渡したものを思い返して後悔したのは否定できない。せめて手紙の方は燃やして欲しいと願ったのは、何も知らなかった自分の愚かさの一端を消したかったからで、残していてほしくなかったから。だから数年越しに、まだ手元に残っていると聞かされた時はひどく動揺した。後生大事に持…