古代中国の神。漢民族の神話では邪神である。
「饕餮」の漢字の意味は「大喰らい」。言及される文献は『山海経』など。
人間の頭は持っているが、身体は羊もしくは牛で、羊の角を生やし、目がわきの下に付いており、虎の歯を生やし、人の爪を生やし、赤子のような声で鳴き、人をとって喰らう
殷代に信仰を集め、魔除けとして饕餮をかたどった紋様が、盛んに青銅器に施されている。この紋様を饕餮紋という。(→東洋美術史)
饕餮は、もとは中国大陸南部に住んでいた稲作農耕民族の奉じた神である。この民族の漢民族による征服と同化の過程で、饕餮は黄帝に反逆した邪神というかたちで漢民族の神話の中に組み込まれた。(→神話学)