ここまで読者の神経を締めつけてくる小説は、そう多くありませんでした。 『脳男』はページをめくる手が止まらないタイプの作品でありながら、同時に「先を読むのが怖い」と感じさせる不思議な読書体験を与えてくれます。 爆弾事件という凄惨な犯罪を軸に物語は進みますが、本作の本当の恐ろしさは、事件の派手さではなく“人間の内側”に切り込んでくる点にあります。 感情が極端に欠落したように見える主人公、彼を追う側の苦悩、関わる人々の価値観の揺れ。 その一つひとつが読者の倫理観を静かに揺さぶります。 正義とは何か、罰とは何か、そして人間らしさとは何か。エンタメでありながら、読後に重たい問いを残す作品でした。 ■ 凄…