香川県のとある市の役所に電話をした。他界した姉の戸籍を手繰り寄せる必要があった。姉の一家は横浜に住んでいたが調べてみるとその本籍地は香川県と知った。結婚相手が香川の人だったのだからそれを機会に横浜からそこに戸籍を移したのだろう。 市役所の戸籍係だった。対応の女性と話していたら、いつの間にか話している相手が義理の伯母に思えた。産まれてこの方香川で暮らしてきた彼女は他の地方の言葉の影響を受けていない。生粋の香川弁をしゃべるのだった。役所の女性の言葉も発音や言葉尻が余りに懐かしく、電話越しなのに瀬戸内海の香りがしたのだった。香りが電波に乗って受け手に届くことを初めて知った。香りばかりでなく風景も電波…