話が前後する。 ポツダム宣言を受け入れた日本は、GHQによって支配されている。 我が家が疎開していたのは、母の実家(現在の香川県さぬき市、当時は香川県大川郡富田村中)であった。 村のメインストリートを、時折、進駐軍のジープが走っていた。 父の山の畑に行くのに、この道を渡って行く。 ある日、母と妹と私が、山の畑に行く時、進駐軍の兵士が妹に手を振ってくれた。 妹は色白で、頬がほんのりと赤い。 誰が見ても、可愛かった。 きっと進駐軍の兵士も妹を見て「可愛い」と思ったのだろう。(と、後で、母が父に話していた。) それに比べて、私は色黒で、背がひょろりと高い。居ても、目立たない。 昭和21年8月、私と妹…