訓読 >>> 1757草枕 旅の憂(うれ)へを 慰(なぐさ)もる 事もありやと 筑波嶺(つくはね)に 登りて見れば 尾花(をばな)散る 師付(しつく)の田居(たゐ)に 雁(かり)がねも 寒く来(き)鳴きぬ 新治(にひばり)の 鳥羽(とば)の淡海(あふみ)も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の 良(よ)けくを見れば 長き日(け)に 思ひ積み来(こ)し 憂へは止(や)みぬ 1758筑波嶺(つくはね)の裾廻(すそみ)の田井(たゐ)に秋田刈る妹がり遣(や)らむ黄葉(もみち)手折らな 要旨 >>> 〈1757〉旅の憂いを慰めるよすがもあるかと思い、筑波嶺を登って眺めると、すすきの散った師付の田んぼに、雁が飛ん…