【笠原和夫の作家性 (2)】 高田「任侠映画はやむなくそういう世界に入ったけど、美意識を持っていたやったら受けたわけや。あの人の『博奕打ち 総長賭博』(1968)でも如実に出てますよ。血のつながりをぶち破るジレンマに目をつけて、書いた。肉親を殺すときに、けちな人殺しと言ってしまうと任侠道は成り立たない。やくざにとっては正義のはずなのに、それを否定してかかる。あの人は任侠道をつぶしていく。ぼくらは受けることばかり考えてたけど、あの人は冷たい眼を持っていて、世代的なものかな。愛国ってことで死を覚悟した。強い人は拒否するけど、彼は拒否しなかった」