『主よ。深い淵から、私はあなたを呼び求めます。 主よ。私の声を聞いて下さい。 私の願いの声に耳を傾けてください。 主よ。あなたがもし、不義に目を留められるなら、 主よ。誰が御前に立ちえましょう。 しかし、あなたが赦してくださるからこそ あなたは人に怖れられます。(詩篇130篇1~4節) その頃、天竜川で川下りをしていた舟が転覆して5名の命が淵に沈んだ。淵というのは、緑色の水が流れる、深くて恐ろしいところである。詩人も私たちもそこから、主を呼び求める。この小説家は癌になって、この詩集を書いた。 見つめる 犬が飼い主をみつめる ひたむきな眼を思う 思うだけで 僕の眼に涙が浮かぶ 深夜の病室で ボク…