1902~1903年(明35~36)金槇堂刊。都新聞に連載された活劇講譚「女警部」(前後篇)およびその続篇「後の女警部」(前後篇)の全4巻。合わせて1000頁を超える大長編である。明治26年以降の10年以上にわたり、警察OB の高谷為之から提供を受けた事件記録を物語風に書き直した探偵実話が大いに流行し、これに倣って他紙も追随した。大正期に大川屋から「みやこ文庫」として3巻本にて再刊されている。 タイトルの「女警部」とは女性警察官のことではなく、警察官の上役の警部の制服に頭巾をかぶり、男装して強盗に入るヒロインの手口に由来する。彼女は美人である上に、身のこなし等の行動力があり、頭の回転が速く、度…