六月大歌舞伎夜の部を観劇。今月は萬屋の襲名及び初舞台公演である。二階席後方に若干の空席はあったが、まず九分通りの入りと云ったところか。ロビーには和装の獅童夫人や新時蔵夫人など梨園の女将がずらり。やはり襲名興行と云うのは華やかで良いものである。加えて当月は獅童の愛息、陽喜と夏幹が役者名を名乗って初舞台。かつての歌舞伎座六月は亡き萬屋錦之介の公演月であった。獅童はそれを復活させたいと語っていた。素晴らしい事だと思う。ぜひ来年以降も六月の萬屋公演を継続して行って貰いたい。何せ親類の播磨屋を加えれば、ひと月の興行を打つに充分な役者が揃っているのだから。 幕開きは『南総里見八犬伝』から「円塚山の場」。曲…