風が強く吹いていた。私たちは今バスの二階席にいる。 旅も終わりに近づいていた。明日朝には空港に向かうので、ポルトガルを楽しめるのは今日までだった。せっかくこの国に来たのだからユーラシア大陸最西端の岬、ロカ岬には行かねばと、バスに乗り込んでいた。 「やっぱりさ、新鮮な空気が吸えるところがいいよ。」 ナツさんが二階席に上がって言った。「酔わないほうがいいよね、二階席でいいか。」と、私とコナツも後に続く。二階席は天井がない。ポルトガルの陽ざしは強烈なのだからあまり暑いときには一階席に降りよう。そう考えながら、私とコナツは着席するとすぐに日焼け止めを塗った。 ほどなくしてバスが動いた。バスは山の中に入…