No.4139【今日の読書】「浄土の帝」 刊行当時だから、かなり以前に単行本を買い、部屋のどこかに置いて見当たらなくなってしまった。最近になってKindleで見たので再読することにした。安部龍太郎「浄土の帝」だ。 末法の世、平安時代末期。貴族たちの抗争は皇位継承をめぐる骨肉の争いと結びつき、鳥羽院崩御を機に戦乱の炎が都を包む。朝廷が権力を失っていく中、自らの存在意義を問い、理想を追い求めた後白河帝の半生を描く。 平安時代400年の中で、いや歴代の天皇のなかで一番胡散臭く、源頼朝に「大天狗」と揶揄された後白河天皇(後に上皇、法皇)を描いた歴史小説。確かに保元の乱では兄である崇徳上皇と戦って勝ち、…