『雄弁と文章』『新雄弁道』『勧誘と処世』『交渉応対 座談術』――。 神保町を駈けずり廻り、購(あがな)い積んだ大日本帝国時代の演説指南書。 甚だしく日焼けして甘い香りすら仄かに漂うページを捲り、ざっと通読した限り。どの「流派」にも等しく伝わる「鉄則」の如きものがある。 濫りに外語を使うんじゃない、ということだ。 日本人を相手にするなら、ちゃんと日本語で、滞りなく意味が浸透するよう話せ。耳慣れぬ横文字を滅多矢鱈に振り回されて、それで誰が気持ちいい? 喋っている当人は、まあ、てめえの語学力の高さ――それも大抵、錯覚でしかないのだが――を思う存分アピールできて自己陶酔にも耽れるだろうが、客はただただ…