相変わらずトランプ大統領が世界を振り回している。 こうした一連の状況から「鹿を指して馬と為す」という故事を思い出した。それはこんな話だ。 秦の始皇帝に仕えていた趙高という臣がいた。趙高は始皇帝の末子である胡亥の守役であったが、晩年の始皇帝の身も周りの雑務をこなして寵愛された。 始皇帝が行幸中に死去すると、趙高はその遺言を勝手に書き換えて後継者を太子の扶蘇ではなく末子の胡亥にしようとした。そして宰相の李斯を強引に抱き込み、扶蘇を自害に追い詰め胡亥を皇帝に即位させた。趙高は皇帝の胡亥に代わって政務を取り仕切り実権を握り、皇帝の権威を背景に敵対する有力者をことごとく冤罪で処刑した。 政治は乱れ、民衆…