フランス文学者・翻訳者、エッセイスト。1949年、横浜市生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位修得退学。 共立女子大学文芸学部教授.専攻は19世紀のフランス社会と文学. 著書『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋)、『新聞王伝説・パリと世界を征服した男ジラルダン』(筑摩書房)『馬車が買いたい!??19世紀パリ・イマジネール』(白水社)『職業別パリ風俗』(白水社)『パリでひとりぼっち』(講談社)『悪党が行く』(角川選書)他、多数。
たまにこのブログでも自分の読んだ本の紹介をすることがありますが、書くのに時間をかけている割には出来が散々で、書評の書き方が学べる本を読んでみるかなぁ・・・と図書館をうろうろしていました。 タイトルがそのものズバリな「書評の書き方!」みたいは本は見つけることができませんでしたが、書評家がこれまでに書いてきた書評をまとめた本は結構あります。 図書館でなくても、「〇〇文庫の100冊」などは、書店にいけば、無料配布しているのでは・・・ そういうのが書き方のお手本になるかなぁと思っていたら、「書評家人生」という結構分厚い本を発見。 これだけ分厚ければ、一冊くらいは自分がこれまでに読んだ本の書評も載ってい…
本日に返却期限を迎える本がありまして、それはインターネットでは延長 の手続きができないものですから、本を持参して図書館へと赴くことにです。 一冊返却し、一冊延長で、新規で一冊かりましょうと思ったのであります が、新規で借りる一冊の選書に苦戦することにです。本日に期限を迎える もののほかにも借りているものがあって、それもあわせますと、新しい年を 迎えてからの返却日までに読むものは十分すぎるほどですからね。 まあ読めなくてもいいので、骨っぽいものを借りるか、それともすこしでも 読めるものにするかと悩んで借りたのは、次のものでありました。 パリの本屋さん (単行本) 作者:鹿島 茂 中央公論新社 A…
昨日紹介した「『パンセ』で極める人間学」よりも、もっと手軽にパスカルとパンセのことを知ることができる1冊。 「NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ (鹿島茂、2013年3月初版、NHK出版) NHKでの放送は2012年6月。NHKオンデマンドで見る場合は、第45回〜48回の全4回です。 パンセが何であるか、パスカルがどういう人かは、一つ前の記事で紹介しています。 本書は、現代に生きる人たちのお悩み相談に対して応えてくれるパンセの断章を紹介していく、という構成になっていて、より一層読みやすいです。 登場人物たちの悩みは様々で、自分に当てはまるものもきっとあるはず。 よりライトにパ…
好きな書き手を追いかけていると、知らなかった世界に誘われます。 鹿島茂さんを追いかけていたら、パスカルの残したパンセ抄と出会いました。 「『パンセ』で極める人間学」(鹿島茂 著、2022年6月初版、NHK出版新書) 「人間は考える葦である」 「パスカルの定理」「パスカルの原理」「ヘクトパスカル」 どれかひとつはきっと聞いたことがあるのでは。 そのどれもが、のパスカル(本名・ブレーズ・パスカル)から。 17世紀のフランスの数学者であり、物理学者であり、哲学者。 数学の世界に留まるのではなく、人間に興味を持ち始め、のちには神学の道にも入っていく。 天才という言葉がこれ以上なくぴったりの人。 「パン…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 子供の頃から 私は読書が好きでした。 当時住んでいた家の隣に 児童館があって そこでいくらでも本を借りることができたのですね。 小学生当時は 江戸川乱歩シリーズとか 星新一さんの本とか 貪るように読んでいた記憶があります。 ところが中学生、高校生は もう野球一色になってしまって しばらく本から離れてしまったのですね。 一応、大学も野球推薦で入った手前 勉強より野球という時期を過ごしてしまったのですが 20歳くらいから読書熱が復活してきて それからは今に至るまで 自称ではありますが…
マルヴィルの写真集表紙 Ⅲ 写真、スポーツ マルヴィルのパリ 現在のパリの街並みは1853年頃から約20年ほどのあいだに、旧来の街並みを人為的にすべて破壊したうえで、綿密な設計図に基づいて建設されたもの。 カルチェ・ラタンやマレ地区に一部過去の街並みが残っているだけ。 失われたパリを写した写真家、ウジューヌ・アジェ 彼の作品は大改造後の世紀末からベル・エポックにかけての二十世紀のパリ シャルル・マルヴィルの作品がバルザックやユゴーのパリ、つまり大改造以前の失われたパリを残している。 パリ民衆の反抗精神に対してナポレオンⅢ世のとった方法 ・中心部と東部の人口密集地区を街区ごと破壊し、ここに大砲を…
パリ時間旅行 鹿島茂 著 表紙 パリ時間旅行 鹿島茂 著 筑摩書房 発行 1993年6月1日初版第1刷発行 この本では、パリの中に穿たれた、パサージュ、街灯、あるいは単に光、音、匂いなどというタイム・トンネルを通ってこの時間都市に旅をして、たっぷりと十九世紀の空気を吸い込んでいくことを目的としている、とのことです。 Ⅰ パリの時間旅行者 パリの時間隧道(パサージュ) パリの建物は条例により高さが地域で一定している。そのせいか、屋根裏部屋の窓から眺めるとほとんど視界を妨げるものがない。 パサージュというのは、通りと通りを結ぶ一種のアーケードの商店街で、十八世紀の末から十九世紀の前半にかけて建設さ…
読んだ本 鹿島茂『大読書日記』青土社 (2015) アンリ・ミュルジェール『ラ・ボエーム』光文社古典新訳文庫 (2019) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『ラ・ボエーム』 300項強までたどり着いた。 いろんな偶然から詩人、音楽家、画家、哲学者が集まってひとつの部屋でわいわいやる。 恋愛の話ばかりで、フランス人はお盛んなようで、と思いながらだらだらと読んでいた。 芸術家たちが集まって、深い話でも展開されるのかと期待したが、トーマス・マン『魔の山』の思想小説とは趣が違うなと思いながらも、ひとまず読みやすいので最後まで読んでみたい。 性にオー…
読んだ本 鹿島茂『書評家人生』青土社 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 この方は読書日記系の本を多く出している。 そしてその対象の本も分野が多様で、理工系から人文系、エッセイや詩といったラインナップであり次に読みたい本を見つけるときに使うもよし、見識を広めたいときに読むのもよし、とりあえず読書をしたいときに読むのもよしと、読書好きには有り難い一冊である。 2年前に夢中になって読んだ『善と悪のパラドックス』もこの本で触れられている。 『バカロレア幸福論』の書評や、シモーヌ・ヴェイユに関する箇所を読んだ。 フランスでは哲学教育が日本…
今週のお題「おとなになったら」 今回は、子供の日にちなんでのお題らしい。 思い描いていた「大人」になれてる? となっているが、答えは否だ。 きちんと整理整頓ができるオトナでありたかったが、今に至るまで、うまくいっていない。だから、“積読”が溢れてしまうのだ。 とはいえ、上には上がある。古書の収集家として知られている人の場合、集めるのも大事だが整理も大変そうだ。 『歴史の風 書物の帆』 鹿島茂 著 小学館文庫 古書のコレクターで有名な鹿島氏による書評を集めた本である。 鹿島氏は仏文学者であるので、当然ではあるが、フランス関連の本が多い。 その中でも、パリを舞台にしたもの、パリに関する本が多いよう…