筆者は、日活ロマンポルノの名作『花と蛇』『生贄夫人』などで谷ナオミを縛り、その他にも数々の日活SM作品で縛りを演出した伝説の縄師(ロープマン)である。筑摩書房 縛師 ─日活ロマンポルノ SMドラマの現場 / 浦戸 宏 著谷ナオミの緊縛姿の表紙を見たとき、「え、これは電車で読むのはちょっと……」と思ってしまった。本編のなかにも日活ロマンポルノのスチルがふんだんに載っているので読むにも気を使った。なお、出版社は固いイメージのある筑摩書房であり、いたって真面目な回顧録である。まずSM映画の撮影現場の生々しい裏話は貴重である。縛りの美学について小沼勝監督と意見が衝突し、それを谷ナオミが嗜めるあたりは圧…