松本清張の短編 今日は2週間ぶりに読書の話題でも。松本清張の話の続き。 前回、松本清張の短編の個人的ベスト1は『家紋』だと書いたが、今回はその他の作品から2篇選んで感想を。前回と同様、ここからは作品の内容に触れるので、今から読む方で内容を知りたくない方は飛ばしてください。 『天城越え』 この話は映画やドラマにもなっているのでよく知られている。ちなみに石川さゆりが歌う「天城越え」はこの小説のストーリーとは関係ない。天城越えというと、文学では、川端康成の『伊豆の踊子』が思い浮かぶが、清張がこの小説を書く際に川端康成の名作を意識していたということは、小説の冒頭に「私」の思いとして『伊豆の踊子』につい…