夏の盛りの鎌倉市街地はかすかに涼しい海風が吹いており、なんだかいい気分になったのも束の間、鎌倉別館まで歩く間に酷く汗をかいた。 神奈川県立近代美術館鎌倉別館に行くのは初めてだ。葉山の方はどうかというと、これも記憶にはない。保存修復にフォーカスを当てた展示を首都圏で行うのは珍しいと思い、何の作品が展示されているのかも調べず、横須賀線・総武快速線を一気に南下した。展示室は広くなく、人もそう多くはない。 古賀春江《窓外の化粧》1930,神奈川県立近代美術館蔵 何か作品を見た覚えはあるが、このとき作者の古賀春江の名前を知り、《窓外の化粧》という作品をよく思った。ワニスの塗り直しという修復が行われたと紹…