1980年頃の京都の話。今時、詩人の黒瀨さんの事を知る人は少ないだろう。それでも、未だに僕の記憶の片隅に「黒瀨勝己」という京都の詩人が居る。最近何故か、黒瀨氏の作品を思い出すのだ。もう40年も前の事。 以前書いた「京都にZABO(ザボ)という喫茶店があった。」の続編のような話。 僕の意識のほとんどは過去の時間に満たされていて、未来の時間はほんのわずか。いつも頭の中は昔の事ばかり悔やんで思い出し、今を生きている。そんな僕にも20歳の時があったのだ。 僕は熊本の端っこに在る小さな港町で生まれ育った。子供の頃から人付き合いが苦手で、早く生まれた町を出たくて仕方なかった。自分の事を誰も知らない街に、出…