首相にそのようなつもりはなかった。だが、ウツボカズラは気づいていた。首相自身が気づいていない事実に。伝えたいという気持ちはあるが、彼は婿として迎えられた誇りを胸に秘め、今日も何も言わず、主を見守っている。 砂漠探検から戻った首相は手早く入浴準備をすませ、浴室へ向かった。10歩で到着した。 五右衛門風呂の湯張りが完了するのはまだ先だが、構わなかった。今日の砂漠はやたら暑かったため、汗でベタつく。砂も舞っていたため、肌がちくちくする。一秒でも早く、シャワーを浴びたかった。 シャワーヘッドから出るぬるめの湯が身体を打つ感覚にうっとりしながら、探検の成果を思い出す。砂の上に小さな何かがいたような気がす…