元禄8年3月11日。申刻(午後3時)過ぎから曇る。1晩中雲が垂れ込め、少し雨が降ることもある。鍋屋町の莨蓿屋(まぐさ、うまごやし)が女房を水野山に連れて行き、刺し殺して自らも腹を切る。終始手際が良かったと。この女は松岡玄与のところで乳母をしていたが、この男と通じて子を宿してしまい乳が出なくなり、2月に暇をもらっていた。元の男が近々江戸より帰ってくるので、狼狽してこの如くと。