文政3年2月。東輪寺で大仏造営の願いを済ませ、近々製作が始まるはずと。大仏は籠に張ったものと。6月に場所定めの式がある。高さはおよそ9丈(1丈は約3メートル)余。(後略)志の者は法名、俗名などと忌日を書き、一霊士につき一所にて入る。
文政3年2月。同じころ、〔高田〕粟薬師(瑞穂区海上寺にある弘法大師作と言われる薬師如来)の開帳が行われる。
文政3年2月。この頃より天道山光照寺で開帳が行われる。いつものことながら大いに賑わい、日々の群衆はおびただしく、鳴物を用い、そのにぎやかさは筆では表し難し。調子にのって駿河町通りで大騒ぎし、町々まで三味線、太鞁(太鼓)、あるいはすりがね(摺鉦)、金盥の類を叩きながら帰る。ついには〔市中〕鳴物禁止の触が出る。しかしながら、松原までは変わらず大騒ぎで、喧嘩などもたびたびあったと。
国君(殿)が御放鷹の際、高蔵寺山で奇妙な石を得る。石に水晶の紋があり、水晶の中に金銀の星の形がある。硯にと仰せ付けられ、江戸への御土産する(斉朝公)つもりであったが、これを請け負う職人がいなかった。牧氏(墨仙)が作られると。
文政3年2月。熱田祈年祭が行われる。町々家並で提灯を飾る。今年は大賑わいで、旗屋町には様々な作り物(飾り物)が飾られる。