この日本という国は、古来より「美し国」と呼ばれ、「言霊の幸ふ国」と呼ばれてきたのである。 そして、連綿たる和歌の伝統というものがあり、数千年の歴史を経て、国民一同が歌を通して一つの心にまとまり、永遠の美しさ、大和の心というものを追求してきたのである。 思いを巡らせれば、万葉の時代に生きた人々は、やはり、どこかギリシャの時代に生きた人々と似ている。大らかに、自らの魂の声を、心の内に響く音楽を、言霊に乗せて詩にしてきた。 おそらくは、「言霊」という言葉にも象徴されているように、万葉の人々にとっては、まさしく、歌とは天の聖霊より与えられるものであり、それ故に、崇高なる精神の美しさを体現したものであっ…