古びたアパートと安い定食屋が並ぶ学生街。 表向きは平和だったが、半年ほど前から「夜に学生が消える」という噂が広まっていた。 最初に消えたのは経済学部の四年生。 次に文学部の女子、そして情報工学の留学生。 警察は事故や自殺と片付けたが、共通点が一つだけあった。 ――三人とも、「未来創成研究会」という同じサークルに所属していたのだ。 そのサークルは、表向きは「自己成長をテーマにした勉強会」。 だが、実際は心理実験のような活動をしていた。 「人はどこまで“自分を更新”できるか」 「人格を変えるためには、何を失えばいいか」 主宰していたのは、神崎という大学院生。 静かで、目立たず、しかし言葉に奇妙な力…